あつらえた洋服を持つことは紳士の常道。一人ひとりの個性に沿う風格、内に秘めたるノブレス・オブリージュ(紳士の精神)の表現は、まさに注文洋服の独壇場です。平面の服地に技術を駆使し、立体感のある美しいシルエットを造形する裁縫の妙。装うたびに愛着が増し所有することの喜びが沸いてくる、堂々とけれんなく立居振舞ができる。これが注文洋服の魅力の源です。
あなたが次の一着にオーダースーツを選ぶ時、まずは前面のVゾーンと胸まわりの量感、さらに腰まわりから裾に連なる曲線のシルエットに注目してください。この立体造形美のラインが高品位の洋服の基本形です。
「着心地の良さ」は素材にも着目しましょう。服地、裏地、毛芯などに上質の天然素材を用いれば、着心地はさらに良くなります。特に服地を選ぶ時には、手触り・厚み・重さ・色柄等、実際にふれて確かめてみてください。肩に掛けて自然光に映して見てみると、出来上がりのイメージがつかみやすくなります。
注文洋服の精神「ビスポーク」とは「Be Speaking」のこと。「お客さまとよく話し合い、納得するまで話し合う」という職人の心意気。着る人と作り手が、おしゃれについて相談しながら作り上げていく「ビスポーク」の楽しさ、注文洋服の醍醐味を是非味わってください。