アストラカン
Astrakhan
本来はロシアのアストラカン地方で産する仔羊の、きつくカールした高価な黒色の毛皮です。通常はこれに似せて作った模造品が殆どで、光沢のある巻き毛をビロード状に表現したものが多いようです。
アルパカ
Alpaca
アルパカは南米ペルーやボリビアの高原に棲息するラクダ科の動物の一種で、光沢のある、手触りの滑らかな毛が採れます。経糸に綿糸、緯糸にアルパカ糸を使った織物は、最高級の裏地として使われていました。生後2年のアルパカから採れるファイン・アルパカは、色が白く、絹のように繊細で、ウールと混織して夏服地としても着用されます。
アンゴラ
Angora
アンゴラには山羊と兎の二種類があります。 アンゴラ山羊から採れるのは、トルコのアンカラ(アンゴラ)地方に起源をもつアンゴラ山羊の毛からできる「モヘヤ」です。現在はトルコよりも、アメリカのテキサスおよび南アフリカが主産地で、紳士の夏服地としては主として南アフリカ産のモヘヤが使われています。生後1年までの仔山羊を「キッド」といい、繊度が細くしなやかなので特に珍重されています。 アンゴラ兎の原産地はトルコですが、現在は中国が主産地でドイツ、フランスなどがこれに次ぎます。織物や編物に使うアンゴラ兎は、軽さは羊毛の1/3、暖かさは羊毛の3倍。細くて長く、ソフトで美しい毛が採れるよう特別に飼育されています。この毛には縮絨性がないので、織物や編物の表面に浮き出てきて抜け易いという欠点があります。
カシミヤ
Cashmere
ヒマラヤ山麓カシミール地方原産のカシミヤ山羊の毛のことをいいます。剛い外毛の下に酷寒に耐えるために柔毛が密生していて、この柔毛が春先に自然に抜けるのを櫛で梳いて採ります。現在は中国が主産地で、世界の1/2以上を産出しますが、最大の消費国は日本で、全産毛量の約1/3を輸入しています。カシミヤの毛の手触りは柔らかくてぬめりがあり、保湿力にすぐれています。その上に絹のような美しい光沢をもっていますが、1頭で僅か150~250g(1枚のセーターを作るのに3頭分の毛が必要)しか採れないため、最も高価な原料のひとつとなっています。なお、「カシミヤ・バラセア」などと呼ばれる場合のカシミヤは、原料のカシミヤのことではなく、キメの細かい表面感の「カシミヤ織り」という織り方を指します。
キャメル
Camel
中国の内モンゴル、モンゴル人民共和国など、中央アジアの砂漠地帯に棲息するフタコブ・ラクダの毛のことをいいます。長くて剛い外毛の下に生えている柔らかい毛が、春に脱毛するのを梳いたり拾ったりして集めます。カシミヤの毛に似ているので、日本で「ラクダ」と称している下着などは、カシミヤの毛を使っている場合が多いようです。
グアナコ
Guanaco
南米ペルーのアンデス山脈に棲むラクダ科の動物。ビキューナに似た、しなやかな手触りと美しい茶色の自然色が珍重されています。捕獲が全面禁止されているビキューナに替わって人気が高まっていますが、乱獲で絶滅寸前ともいわれています。
シロップシャー
Shropshire
英国種羊毛の一種。毛足が短いので、張りのある紡毛織物の原料として多く使われています。
チェビット
Cheviot
スコットランドとイングランドにまたがるチェビオット丘陵原産の山岳種羊の一種。英国種羊毛の中では、強力、光沢ともにすぐれていて、紡毛、梳毛両方に使われています。この羊毛を使った紡毛織物をチェビオット・ツイードといいます。
チンチラ
Chinchilla
南米アンデス山地に生棲するリスの一種。その毛は極めて細く、希少性が高いため、高価な原毛となっています。
ビキューナ
Vicuna
ラクダ科の中では最も小型の野性的な動物で、ペルー、ボリビア、エクアドルなどの近寄りがたい高地に棲息しています。その毛は極めて細く、丈夫で弾力性に富み、絹のように柔らかくて光沢があります。そのため「動物繊維の宝石」ともいわれています。飼育が困難なために絶滅のおそれがあるため、ワシントン条約で捕獲が禁止されており、「幻の繊維」となりつつあります。
モヘヤ
mohair
アンゴラ山羊から採った毛をモヘヤといいます。約5,000年も前に、遊牧民によってチベットからトルコにもたらさせられ定着したといわれています。現在の主産地は、トルコ、南アフリカのポートエリザベス北方、アメリカのテキサスなどです。絹に劣らない光沢と滑らかさにめぐまれ、すぐれた吸湿性と軽さから夏服地の原料としては欠かせないものです。高温多湿の日本で最も愛好され、世界産毛量の1/3を輸入しています。
ラム・ウール
Lamb’s wool
生後約半年の仔羊をラムといいます。その毛は極めてソフトですが、毛足は短く、産毛量が少ないために希少価値が高い原毛です。