インディゴ染め
Indigo Dyeing
藍(あい)染めのこと。インド産のインディゴと呼ばれる木の幹と葉からとった天然染料によって染めたものが本物。一般には化学染料で染めたイミテーションが多いようです。
ウーステッド
Worsted
織物に使われる毛糸は、梳毛糸(ウーステッド・ヤーン)と紡毛糸(ウーレン・ヤーン)とに大別されます。梳毛糸は、製造工程中センイを櫛で梳くようにして作るのでその名があります。従ってセンイを平行に並べた状態で糸にするので細い糸を作ることができます。この梳毛糸を使って織物にしたものを総称して「ウーステッド」と呼んでいます。なお、英国ノーフォークにあるWorstedという村落で、薄手でしっかりした織物が初めて織られたのがこの名称の由来ともいわれています。
サテン・バック
Satin Back
裏朱子のこと。手持ち感を増すために裏を朱子織にした織物の技法で、バック・サテン・ギャバジンなどのがその一例です。
ジャカード
Jacquard
普通の毛織物織機は構造上綜絖の枚数に限度があって、あまり複雑な織柄はできません。これに対して、特殊な機械装置をつけたジャカード織機は、相当複雑な紋柄まで織ることができます。この織機で織った紋織物をジャカードと呼んでいます。この名称はジャカード装置の発明者の名前からとったといわれています。
ダブル・プレイン
Double Plain
普通ダブル・クロスと呼ばれているもので、平織を二重織にした厚手の織物です。細番手の糸を使うので、厚地の割には表面の目風は細かいのが特徴。
ツイスト・ヤーン
Twist Yarn
ツイストとは「撚る」という意味なので、普通の糸は全部ツイステッド・ヤーンですが、特に「ツイスト・ヤーン」と呼ばれる糸は、違った色の単糸を2本撚り合わせた「杢糸」(もくいと)のことをいいます。この糸を使って織った織物は、ミックス感のある表面効果が得られます。
ナッピング・クロス
Napping Cloth
仕上げ工程で、表面に小さな毛玉(ナップ)を意匠として出したもの。玉ラシャともいいます。
パイル・オーバーコーティング
Pile Overcoating
パイルとは「立ち毛」のこと。地糸とは別に、立ち毛を作るための糸を織り込み、この糸を仕上げ工程でカットして表面を立ち毛で覆ったコート地。「立ち毛」を作るために、起毛と剪毛を繰り返し行う必要があり、技術と手間のかかる織物です。このコート地は、ヴォリューム感のある豪華な雰囲気をもっていますが、技術的に難しいため、あまり作られなくなりました。
ビーバー
Beaver
ビーバー(海狸)の皮に似せて仕上げたものを「ビーバー仕上げ」といいます。縮絨、起毛した毛羽を経の方向に寝かせて剪り揃えたもので、オーバー地の代表的な仕上げ方式のひとつ。
風通織
接結糸を使わない平織の二重織で、柄の出方が表と裏とで全く逆になっているのが特徴。例えば、表が黒で出ている部分は裏では白く、表が白で出ている部分は裏では黒く出ています。
ベロア
Velour
フランス語でベルベットのこと。仕上げ工程で縮絨、起毛し、毛羽を剪り揃えてビロードのような表面感にしたものを「ベロア仕上げ」と呼んでいます。
ホーム・スパン
Home Spun
本来は、ホーム(家庭)でスパン(紡いだ)太い糸を、家庭で手織り織機で織ったものの総称。今では工場生産でも、外観が手紡、手折のようなラフな表面感の平織ツイードのことを言います。日本では「ホーム・スパン」と呼ばれていますが「ドニゴール・ツイード」というのが正式名称。
ミルド・ウーステッド
Napping Cloth
整理工程の中に、ミリング(縮絨)という工程があります。この工程は、石鹸水(実際は温水)で織物を揉みほぐし、表面を毛羽立たせるとともに、毛織物本来のしなやかな手触りを生み出します。ミリングで地肌を覆った毛羽を、剪り揃えたソフトな織物が「ミルド・ウーステッド」です。縮絨の強弱によって毛羽の出方やハンドリングの柔らかさが違ってきますが、その段階を1/8ミルド、1/4ミルド、ハーフ・ミルド、フル・ミルドというように表現します。1/8ミルドというのは、クリヤー・カット仕上げよりもやや毛羽を残した感じのもの、フル・ミルドというのは、フラノ、またはメルトンと呼ばれるものです。
メルトン
Melton
仕上げ工程で、極めて強く縮絨してフェルト状にし、織り組織が全く見えないように仕上げるものを「メルトン仕上げ」といいます。主として紡毛織物で、昔「ラシャ」と呼ばれていたのはこのメルトンです。創製者の名前に由来するものといわれています。