スーツは大別して4つのスタイル(シルエット)に分かれます。そのスーツにどのような目的、趣向、エッセンスなどを持たせるか。オーダースーツをつくる際の、重要な選択のひとつです。生地選び、衿の形、寸法、ボタンなどのアクセサリーの選択と同じように、自分の好みや個性を出せるスタイルを選びましょう。
ブリティッシュ
スーツのルーツ、イギリスのスタイルです。胸の厚みを強調することで、男性の力強さを表します。これを実現するために、肩幅がタイトに、ウエストが絞り目に、衿が細めになっています。色もビジネスを意識した濃紺やダークグレーが選ばれます。英国紳士のスーツです。
イタリアン
英国スーツがビジネス向けとすれば、イタリアンはスーツをファッションとして洗練させた国です。ファッション=個の主張をつきつめた結果、新しい技術や素材が生まれ、ひいては現在のスーツファッション・シーンをリードすることになりました。スタイルの特徴としては、ヒップラインでセクシーさを演出する点が挙げられます。そのために適度にウエストを絞ります。また柔らかなドレープ感を出すために薄手の生地を使うことが多い、パットを入れずに軽さを出すことが多い、などといった特徴のあるスタイルです。
フレンチ
パリコレをはじめとする、女性向けのファッションで世界をリードするフランスのスーツは、イギリスとイタリアに挟まれた土地柄からか、両国のいいところをあわせ持ちます。さらに女性ファッション業界からもエスプリを取り込み、オシャレな男性スーツが生み出されます。
アメリカン・トラディショナル(トラッド)
源流はブリティッシュです。そのため、イタリア風よりも英国風の影響を強く受けるスタイルです。特徴としては、ウエストをあまり絞らず、肩がいからないデザイン(ナチュラルショルダー)が挙げられます。体格のいいアメリカ人からすれば、胸の厚みを強調したり、肩にパットを入れなくても、十分格好よく着こなせるためかもしれません。